『日本版FIRE超入門』は日本でFIREを実現するための教科書だ
読書
以前に読んだ『FIRE 最強の早期リタイア術』は、アメリカ在住のFIRE第一人者の著者の実例紹介だったので、とても新鮮で驚きのある内容でした。ただ、極論ぽい印象もあって、「ちょっと自分には無理そうだな」と感じることも多くありました。
一方で、今回紹介する『日本版FIRE超入門』は、そういった驚きのある新鮮な内容はほとんどありませんでしたが、地に足がついた内容で、より日本の現実に即した内容でした。
FIREを目指すということは、ライフプランニングとリタイアメントプランそのものです。
『日本版FIRE入門』より
とこの本にも書かれている通り、誰でもFIREを目指せるファイナンシャルプランニングの方法が紹介されています。FIREを軸にしたファイナンシャルプランの教科書という立ち位置の本だと思いました。FIREを実現してみたいと考えている人にとっては、参考になる内容が多いかと思います。
FIREの基本は、もっと稼いで、もっと節約して、もっと投資する
当たり前のことです。
FIREって結局は、働かなくて十分な量のお金を貯めるだけです。なので、もっと稼いで、もっと節約して、もっと投資して、どんどん資産を増やしていくことが必要です。
この本では、2章から4章まで「稼ぐ、節約、増やす」について書かれていますが、FIREに限った内容ではなく一般的な内容でした。この記事での紹介は省きます。
FIREはマネーリテラシーの総合問題
こうしてみると、FIREはマネーリテラシーの総合問題の様相があります。
『日本版FIRE入門』より
この表現は秀逸です。FIREを実現するというのは、とても難しいお金の管理に関する課題です。様々なお金に関する知識を把握して、自身を律して、実行していかなければなりません。稼ぐだけでもダメで、節約するだけでもダメで、安定した投資も必要になってきます。
そのためには、まず知識を持つこと。そして実行する力を得ること。この2つが大切です。
公的な制度の「意図」を理解する
公的な制度、法律は、お金のルールブックです。最低限ルールを知ることが必要ですが、ルールを決めた人の視点で、そのルールがなぜ作られたのか、どういった将来を想定したルールなのかを知っておくと、未来を予測することができます。
例えば、賃貸とマイホーム購入について以下のようなことが書かれていました。
公的年金水準は「家賃手当」を含んで設定されていません。賃貸生活者のために家賃手当は上乗せされていません。おおむね年金収入と日常生活費は等しくなっています。これはつまり、引退後は原則として持ち家を所有していることを国は想定しているということです。(そのために、住宅ローン減税などを制作で実施、住宅取得を即しているともいえます)
『日本版FIRE』より
「年金の金額がいくらか」だけでなく、「なぜその金額になっているのか」や「それはどういうことを想定して設定されたのか」まで理解しておくと、さまざまな応用が効くようになります。
資産形成において「マイホーム購入は良くない」という意見がありますが、マイホーム購入のすべてが悪い訳ではなく、むしろ適切なマイホーム購入は税制面の優待を踏まえると、FIREにとっていい面もあります。
ちなみに、賃貸とマイホームに関しての自分の考えは、マイホーム購入にはリスクがあるけど、そのリスクを回避できるのであれば、最大400万円近くの減税を受けることができるメリットは大きいと思います。0.5%の金利で住宅ローンを借りた場合、200万円近く得することができます。

他にも民間保険やこどもとFIREなどについて紹介されていました。
まとめ
この本では、現実に即して日本でFIREを目指すための方法が紹介されていました。
当たり前のことですが、しっかり知識を得ること、知識だけなくより深い理解をしておくことが、FIREするには大切だと改めて気付かされました。(相当な稼ぎが無い限り)継続的に勉強や努力をして初めてFIREを実現できるのだと思います。
ただ、この本では完全なFIREを対象にしていました。完全なFIREではなく、趣味程度に働くようなFIREの場合、難易度を下げることができるはずです。ぼく自身、完全なFIREをしたいと思っていなくて、制限なく自由に自分がつくりたいモノを開発したり、趣味のお店を開いたり、そんな緩いFIREができたらと思っています。
時代の変化が急速になってきているので、FIREに限らず、変化に備えた準備や考え方のリセットが必要になってきているように思います。